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第6話 怪しい物音

「ねえ、オニさん、起きて?」  朝5時に起き、店じまいをする6時まで毎日しっかり働く。  そんな忙しい日々をオニと過ごし、桃の新しい生活は今まで以上に充実していた。  美味しい匂いと綺麗なスイーツに囲まれる生活は、決して楽しいことだけではないけれど、心配性のオニの心情に反して、何事もない日々が何か月も続いたのだ。 「ん、桃。どうした、寝れないのか?」 「違うの、外で音がした気がする」    同居を始めたばかりのころは、ソファーに身体を丸めて寝ていたオニだが、数か月たち気が付けば、桃のベッドで一緒に眠るようになった。  なんでそうなったのか、それは誰が尋ねても絶対二人は教えてくれないのだが、ある日そうするようになってから、オニがソファーに戻ることはなくなったのは事実だ。 「音?」 「うん、ガラスが割れたみたいな音。どうしよう、泥棒かなぁ」 「ちょっと見てくる。お前はここで待ってろ」  ぐるっと家中を見回ると、寝室から一番遠いリビングの窓が割れていた。誰かが投げ入れた石を拾うとオニは怒りで腹が燃えるように熱くなるのを感じた。 「オニさ、ん?」 「部屋で待ってろって言っただろ?」 「だって、1人じゃ怖くて」 「すぐに戻るからベッドに戻っておけ」 「ん……」  オニに頬を撫でられると桃は安堵で頬が温かさを取り戻すように感じた。  家の外は何もなかったかのように静かだった。  手がかりはないかと歩きまわったオニだったが、見つかったのは散歩中の野良猫くらい。誰の仕業かわからないが、悪意を持った行為であることには違いない。  せっかく手に入れた平和を脅かす者が許せない。原因は自分であるような気がして居ても立っても居られないオニだった。 「寝てなかったのか」 「怖くて無理だった。大丈夫だった?」 「窓が一枚割られていただけだ。犯人は分からないがな」 「そう……ただの悪戯かもしれないよね」  オニはベッドに寝そべる桃の隣に腰を掛けた。いつもは強気な黒い瞳が、不安げにゆらゆらと揺れている。 「そうだな、子供のいたずらだろう」  そうであってほしいと心から願い、自分より小さな体をしっかりと抱きしめた。 「オニさん?」 「心配するな、俺が守るから」 「ふふ、守られてばかりだね、僕」 「適材適所だ。俺がお前を守る」 「僕の役目は?」  自分より何倍も逞しい胸に額をこすりつけると桃は尋ねた。 「お前はそうやって笑っていればいい」 「それだけ?」 「それだけで俺が救われるから」 「……??変なオニさん」  そうして桃は安心して眠りにつくのだった。

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