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第7話 平和を割る音

  あれから特に何も起こらずに1週間たった。  ケーキ屋は人の足並みはオープン時より落ち着いたものの、評判の店として未だに忙しい毎日を送っている。  最近一番人気なのは『フォンダンきび団子ショコラ』だ。ほんのりと甘く、どこか懐かしいきび粉の風味が、カカオの苦みと絡み合う絶妙なデザートだという。団子の感触ととろけるチョコレートの食感が癖になると村中で噂になった。 「桃ちゃん、休み取れてるの?」  常連客の優しい言葉に桃は微笑んだ。 「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう。えっと、いつものケーキでいいの?」 「お願いね」  平和だな、と桃を見つめるオニは思った。あの日窓が割れたのは、子供のいたずらか、事故だったのかもしれない。桃のように優しく心の綺麗な人間に悪さをする者などいないだろう。    こうして、安心し気を抜いていたのがいけなかったのかもしれない。もう少し周りに注意し、桃を守る努力をしていれば大変なことにはならなかったはずだ。 「きゃーーー!!!!!」  窓ガラスが割れる騒音と叫び声が店内に響く。目の前に立っていたはずの桃は床に倒れ、常連客の女性が桃の頭を押さえていた。 「桃!!!!!」  気が動転したオニは慌てて桃の傍へと走った。  店の窓に投げつけられた石が、桃の頭にあたったようだ。 「おい、桃」 「ん……いったーい」 「大丈夫か?」  うんうんと頷く桃の頭から血が流れた。それを見たオニは怒りでこぶしを握る。  誰だかわからないが、許せない。 「今日は店を閉めよう」 「でもぉ……」 「でもじゃない、その傷は医者に診てもらうべきだろう」 「んんー」  桃は何度も渋ったが、結局、常連客たちにも押され店を早く閉めることにした。閉店作業は忘れろ医者に行くぞ、とオニに言われて納得できないが渋々と村の診療所に行った。 「ほらね、なーんも問題なかったでしょ?」  オニと共に帰宅した桃の頭には包帯が巻かれている。 「それは頭から血を流していた人間が言っていいセリフではない」 「お医者さんだって大丈夫って言ってたし」 「いや、『安静にしていろ』って言われただろ。明日明後日は休んどけ」 「でも、お店は?」  定休日以外に店を閉めるなんて嫌だと桃はオニを睨んだ。 「窓も修理しなくちゃいけないんだ、開店できるわけがない。2日くらい休んでも誰にも怒られない」

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