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溺れる①

「...着たままがいいって、変態かよ。」  俺の言葉に陽は、フンと鼻で笑って答えた。 「男の俺を犯そうとしてるヤツに、言われたくねぇよ。」  再び重なり合う、唇。  今度は積極的に、求めるみたいに舌を陽の方から絡め取られた。  それに驚き、思わず唇を離して聞いた。 「...嫌じゃないのか?」 「んー...。  驚きはしたけど、嫌じゃない...、かな。  先に咲夜の事好きになったの、たぶん俺の方だし。  ...これって広い意味での、『人間愛』じゃね?」  俺に組み敷かれたままクスクスと、場違いな程楽しそうに笑うコイツの瞳にもう、涙は無かった。  俺も釣られたみたいに噴き出して、そのまままた陽の、人よりちょっと大きく厚い唇にキスを落とした。 「ねぇ、咲夜。  手、離してくんない?  ...ちょっと、(いて)ぇ。  脱がさないなら、抵抗しないからさぁ。」  本当に驚くほどいつも通りに、唇を尖らせて陽は言った。  その言葉に嘘はない様に感じられたし、痛い目に遭わせたい訳でも無かったから、言われるがまま彼の手首を解放した。  すると陽は俺の首筋に腕を回し、更なるキスを強請った。  絡み合う、舌と舌。  貪るように与え合い、奪い合う。  キスだけでは我慢出来なくなった俺は、膝で軽く撫でるみたいにして、ヤツの股間を刺激した。 「陽...、勃ってる。」  クスリと笑い、耳元で囁いた。  瞬時に陽の白い肌が、耳まで赤く染まる。 「せ...、生理現象だしっ!  そういうお前も、勃ってるじゃん。  ...さっきから、当たってんだけど。」  真っ赤な顔のまま、軽く睨み付けられた。 「うん、当然。  ...陽の反応が、可愛い過ぎた。」  今度は何も答える事なく、ふるふると。  ...俺の腕の中、陽は羞恥に震えた。 「触って欲しい?」  焦らすみたいにそっとまた、膝を揺らすと 潤んだ瞳で陽は俺を見上げ、そして小さく頷いた。  見せ付けるように、わざとゆっくり彼のハーフパンツを下ろしていく。 「脱がすなら、一思いにさっさとやれよ。  ...変態。」  相当恥ずかしかったのか、両手で自身の顔を覆い、陽は言った。 「はいはい、どうせ変態ですよ。  ...でもその変態に脱がされて、更に硬くしてる変態も居るけどな。」  言葉でからかいながら、下着の上から優しく何度もその形をなぞる。  すると陽は面白いくらいビクビクと体を震わせ、俺の視覚と指を楽しませた。 「...他人に触られるのは、初めて?」  ゆったりとした緩慢な手付きで、彼の敏感な場所を弄びながら問う。 「当たり前じゃん...聞くなよ、そんな事。」  口では悪態を吐きながらも、体は素直に俺の指先に反応を返した。 「あはは、そっか。  ならこれからも、俺以外に触れさせんなよ。  ...わかった?」  下着の上からでもわかるほど隆起したそこに、唇を這わせる。  するとここまでされるとは思っていなかったのか、陽の体が、水揚げされたばかりの魚みたいに跳ねた。 「ねぇ...。  わかったか、って聞いてるんだけど。  ...返事は?」  ゆるゆると、ちょっと(くび)れているところや、丸い球状の部分に丁寧に舌を這わせていく。  でもそれは直接的な快楽には繋がらず、陽は切なげに腰を揺らした。 「わかっ...たっ、わかったから...っ!  咲夜、意地悪ばっかりしないでっ!」  先程とは異なる種類の涙を、瞳いっぱいに溜めて。  ...陽は俺に、すがり付くみたいに抱き付いた。

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