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溺れる②

「...それ、もしかして煽ってんの?」  涙目のまま、キョトンとした感じで俺の事を見上げる陽。 「へ...?煽るって、何が?」  本気で分かっていないらしいその表情に、思わず噴き出した。 「...分かってないなら、いいよ。」  言いながら、陽の下着に手を掛けた。  ....本当ならそのカラフルなTシャツも、脱がせてしまいたかったけれど。  既に大きくなった陽のモノに、今度は直接唇を寄せる。  熱くかたいその塊に舌を這わせると、陽はまた小さく震えた。  でもやっぱり恥ずかしいらしく、声も、吐息さえも堪えようとする陽の姿。  ...それを見て、意地でも鳴かせてやろうと思った。 「こことか...、ここが良いんだ?」  じっくり丁寧に、陽が敏感に反応する場所を探る。 先端や根元をペロペロと舐めてやると、陽の体は殊更(ことさら)大きな反応を示した。 「知らな...いっ、そこ、やだ...っ!」  拒絶の言葉と一緒に唇から溢れ出る、卑猥な吐息。  ...『嫌』なのではなく、本当は『良い』癖に。  それが分かるから、クスクスと笑いながら、重点的にそこを責めてやった。 「んっ...、咲夜、ホントに駄目だからっ!」  陽の抵抗が、更に激しいモノへと変わった。 「...逝きそう?」  上目使いに彼の蕩けそうな顔を見上げ、聞いた。 夢中で何度も、こくこくと頷く陽。  だから俺はそれを口にくわえ、軽く吸いながら、激しく頭を上下に揺らした。 「駄目...だってばっ!  出ちゃう...出ちゃうからっ!」    陽の声が...体が、大きく震える。  俺はまたクスリと笑い、半泣きの陽を無言で責め立てて。  ...吐き出された、白濁した体液を、飲み干した。 「信じられない...、駄目だって、言ったのに。」  頬を赤く染め、呼吸を乱したまま陽は、俺の顔を睨み付けた。 「いいじゃん、気持ちよかっただろ?」  ククッと笑い、くしゃくしゃと明るい茶色の髪を撫でてやると、陽はまるで子猫みたいに俺に体を擦り付けた。 「でも、恥ずかしかったし。  ...それに、不味かったよね?」  不安そうに、陽がまた俺の顔を見上げた。 「んー、まぁ...美味いもんでは無かったな。  でも陽のだから、いいよ。」  ちゅっ、と音を立て、陽の額にキスを落とした。  陽はまだ恥ずかしそうではあったものの、にっこりと穏やかな笑みを浮かべた。 「でも...、ごめん。  こっちも限界かも。」  陽の手を取り、堅くなっている俺のモノに触れさせた。  ビクッと陽は、一瞬震えて...そしてそのままそこを、優しく手のひらで包み込んだ。 「どうしたら、いい?  ...咲夜にだったら、何でもするし、何されてもいいよ。」  最上級の、殺し文句。  ...でも正直なところ男同士でなんて、どうしたら良いか、俺もよく分からないんだよな。  そのままぶちこむ様な真似をして、陽に痛い思いをさせる事になるのは、俺自身嫌だった。 「ありがと、今度までに勉強しとく。  だから次は、覚悟しといて。  ...それと今日は、口か手で抜いてくれたら、助かるかな。」  照れ臭かったものの、苦笑して素直に伝えた。  陽はまたふにゃりと笑って、俺の言葉に従い、唇と舌先で奉仕してくれた。  そして俺も、陽同様...彼の口内に、すべての欲望を吐き出した。

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