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溺れる③
そして夕方、陽を駅まで送り届けてから。
俺は男同士の『やり方』を調べる為、スマートフォンの検索画面を開いた。
そして出てきた、男同士が絡み合う大人向けの動画を見て。
...ぶっちゃけ、吐きそうになった。
その結果、分かった事がひとつ。
俺はゲイとかバイっていう訳ではなく、性別を越えて陽の事だけが好きらしい。
『...これって広い意味での、『人間愛』じゃね?』
にんまりと笑う、アイツの顔が脳裏に浮かんだ。
...アイツ、バカの癖にたまに確信を突くんだよな。
ククッと笑い、ごろりとベッドに寝転がった。
しかし調べておくとは言ったものの、どうしたものか...。
俺はちょっと途方に暮れて、目を閉じた。
そのまま気付くと俺は、いつの間にやら寝てしまっていたらしい。
その日見たのは、子供の頃、大切に...本当に大切にしていた、ライオンのぬいぐるみの夢だった。
微睡みながらも、ぼんやりと夢の内容を思い出してみる。
金色の鬣 に、ニッと笑う大きな口。
...あのライオン、ちょっと陽に似てたんだよな。
そう言えばあのぬいぐるみって、大事にしていた筈なのに、どうしたんだっけ?
記憶を辿ろうとしたけれど、俺はまたしても睡魔に飲まれ、そのまま再び心地よい眠りについた。
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