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人生で一番幸福な日③

 指以上の太さと固さに、陽はハァハァと浅く荒い呼吸を繰り返し、また瞳を強く閉じた。 「可愛い、陽。  ...壊して、いい?」 「壊...す...?」  その意味がよく分からなかったのか、彼はただ俺が発した言葉を繰り返した。  だから返事を待つ事なく、更に奥へ、奥へとコイツの中に侵入した。  ぎり、と唇を噛む仕草に不謹慎ながら更に興奮し、優しくしてやりたかったはずなのに最後は、少し乱暴に奥まで突き入れた。 「んっ...、ふぁっ!?」  驚いた様に声をあげ、痛みと快楽がごちゃ混ぜになったみたいに震えるその姿を見て、我ながら自分勝手だとは思うけれど支配欲と独占欲が満たされるのを感じた。 「奥まで、入った。  ...大好きだよ、陽。」  派手な柄のTシャツを着たままの体を抱き締め、耳に舌を這わせながら想いを込めて放ったその言葉はもう、陽の耳には届いてなかったと思う。  それでもただ彼に溢れる気持ちを伝えたくて、何度も愛の言葉を囁いた。  少し慣れるのを待ち、呼吸が落ち着いたのを確認してゆるゆると腰を使い始めると、陽は再び甘い吐息を漏らした。  だから徐々に動きを早め、激しく何度も突き上げていった。 「もう、平気みたいだな。」  クスリと笑って言うと、陽は小さく頷き、答えた。 「ん...、平気。  咲夜...、もっとして?  前も、さっきみたいに触ってほし...。」  陽の好きな場所を中心に責めてやったからか、陽は蕩けたみたいな表情でそう言うと、卑猥に...まるで強請るみたいに腰を揺らした。  そんな風に煽られた俺もまた、完全に理性を飛ばされて...そこからはもう夢中で、まるで獣にでもなってしまったみたいに陽を抱いた。 「はぁ...、咲夜...っ!  もう、やだよ...っ!  体、またおかしくなっちゃってるから...っ!」  陽は必死に訴えたけれど、それは痛みではなく過ぎた快楽に怯えての事だとわかっていたから、暴れる体を力ずくで押さえ込み、手のひらで敏感な場所を弄びながら何度も抉り、貪った。  すると陽は言葉を発するのも、抵抗するのもやめ、ただされるがままいやらしい声で鳴き続けた。  そして感じれば感じるほど強く締め付けてくるものだから、俺も快感の波に飲まれ、背後から強く陽を抱き締めたまま中に全ての欲望を吐き出した。  力を失ったそれを抜き去ると、まだ動けないでいる陽の体を綺麗にして、ただ静かに彼を抱き締めた。  しばらくしてようやく落ち着いたらしい陽は体を離し、俺の事を軽く睨み付けて唇を尖らせた。 「酷いよ、咲夜。  ...俺、もう駄目だって言ったじゃん。」  そんな彼の表情を見て、つい噴き出した。 「ごめん、陽。  でもお前も、気持ち良かっただろ?」  ククッと笑い、聞いた。 「はぁ?  ...信じられない、お前何言ってんの?」  真っ赤な顔で、悪態をつく陽。  俺は優しく彼を抱き寄せ、そしてその生意気な唇を自身のそれで塞いだ。      可愛い、可愛い、俺の陽。  この日の俺は、まだ何も知らなくて。  ...コイツの全てを手に入れる事が出来たのだと、ほんの少しも疑う事なく信じていた。

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