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 ――死ぬかもしれない。 とにかく体調が悪かった。  喉はカラカラに渇いているが、シンクまでの僅かな距離を移動できる気力もないし、排泄に関しても、水分を採っていないから全く催したりしない。 あれから、何日が経過しているのかも正確には分からなかった。  ――学校……行きたくない。 それはやってはいけないことだと頭の中では分かっている。無断欠席で“保護者”に連絡を入れられたら、それこそすべてがお仕舞いだ。 だけど、そんな事情はどうでもいいからとにかく今は眠りたかった。そうすれば、悪夢を見てもその反対でも、現実を直視しなくて済む。  ――なにも、考えたくない。 だから……もう一度眠ろうとして瞼を固く閉じたのだが、ちょうどその時チャイムが鳴り、遥人の意識は急激に現実へと引き戻された。  ――まさか……。 ここを知っていて、訪ねてくる可能性のある人間は、学校の教師と先日ここに押し入った玲だけだ。彼が再度訪れるかもしれないという予感はあったが、動く事すらできないくらいに疲弊しきってしまっていたから、その可能性自体考える事を頭が拒否してしまっていた。

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