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クラス委員の堀田が声を掛けたからか、これまで黙っていた生徒達も労りの声を口にし始め、いたたまれなくなった遥人は再び机へ突っ伏した。 目立たないように過ごしたいのに、彼らのせいで今までの努力が水の泡だ。 「ほら、行こう」 玲に片腕を掴まれて、俯いたままゆっくり遥人は立ち上がる。 彼に従うのは本意ではないが、クラスメイトの視線が痛くて、ここには居たくないと思った。それに、このままでは……体の方が先にどうにかなりそうだ。 「自分で……行けます」 「無理だろ」 せめて一人になれればいいと思ったが、耳元で低く囁かれ……それだけで、恐怖に駆られた遥人は小さく頷いた。 諦めに似た感情を抱き、ふらつく体を支えられながら歩き始めたちょうどその時、校内放送が玲の名前を呼んでいるのが耳へと入る。

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