48 / 338
2
クラス委員の堀田が声を掛けたからか、これまで黙っていた生徒達も労りの声を口にし始め、いたたまれなくなった遥人は再び机へ突っ伏した。
目立たないように過ごしたいのに、彼らのせいで今までの努力が水の泡だ。
「ほら、行こう」
玲に片腕を掴まれて、俯いたままゆっくり遥人は立ち上がる。
彼に従うのは本意ではないが、クラスメイトの視線が痛くて、ここには居たくないと思った。それに、このままでは……体の方が先にどうにかなりそうだ。
「自分で……行けます」
「無理だろ」
せめて一人になれればいいと思ったが、耳元で低く囁かれ……それだけで、恐怖に駆られた遥人は小さく頷いた。
諦めに似た感情を抱き、ふらつく体を支えられながら歩き始めたちょうどその時、校内放送が玲の名前を呼んでいるのが耳へと入る。
ともだちにシェアしよう!