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――どうしよう。
そんな出来事を思い出しながら、握り締めた札に目を落とし、遥人はこれからどう動くかを具体的に思案する。
なにせ、明日にでも怜が登校してくる可能性がある以上、行動を起こすならば速い方が絶対にいい。
――そうだ。
中学の時の担任を、頼ってみてはどうだろうかと突如遥人は思いついた。
――でも……ダメだ。
万が一、祖父が自分を捜すならば、まずはそこを当たるだろう。
「とりあえず……」
服を着替え、荷物をまとめて外に出ようと結論をだして動きだす。
今いる東京以外にも、大きな都市はいくつもあるから、当面はどこかに泊まって住み込める場所を探してみよう。
「よし」
自分自身を鼓舞する為にそう呟いた遥人の心は、これまでとは打って変わって前向きなものになっていた。
浅はかで軽率な結論だという自覚はあったが、このままここに留まるよりも、多少の危険があったとしても、自分一人で立つことのほうが大切だと考えたのだ。
そして――。
数時間後、大きな鞄を肩から斜めにかけた遥人は、大雅の家の裏口から出てそのまま駅へと走り出す。
行き先はまだ決めてはいないが、この時遥人の心の中には、不安の影より希望という名の光が多く射し込んでいた。
第二章 おわり
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