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なんとなく北へ向かっただけで、土地勘などは全くない。
だから、新幹線から降り立った時、想像していたよりも都会で正直かなり驚いた。
どう仕事を探せばいいかもまだ手探りの状況だが、こんなに大きな都市なのだから、きっとなんとかなるだろう。
――とりあえず、シャワー浴びて、それから……。
まずは近くのコンビニへと行き、今日の食料と求人雑誌を買ってこようと考えた。
高校生になってから、自発的に動くことを極力控えていただけに、これからの事を考えるだけで鼓動が音を速めてしまう。
だけど、立ち止まっている暇はないから、遥人は浴室へと向かい、震える体を落ち着かせるため大きく息を吸い込んだ。
***
次の日、自分自身でも信じられないくらいに話は上手く運び、高揚を抑えきれない遥人はホテルの自室へ戻った途端、思わずベッドに飛び込んだ。
「……よかった」
是非来て欲しいと言われたのは、1件目の面接だった。
衣食住が保証されている職場は夜の仕事に多いが、保証人もいないのだから、この際選んでいられない。
『色んな事情がある人がいるから、うちは真面目に働いてくれさえすれば、その辺は詮索しないよ』
今日、指定された喫茶店で面接をしてくれた男性は、見た目は少し怖そうだったがきっちりとスーツを着こなしており、緊張している遥人を相手に丁寧な口調で話してくれた。
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