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こんなことになるくらいなら、意識を断ってしまえたほうが楽だったろうと心底思う。
「痛いところはないか?」
腰へと響く低い声音がすぐ耳元から聞こえてきて、遥人が小さく頷き返すと「そうか」と短い返事をされた。
本当は、体中のあちらこちらがが鈍い痛みを訴えている。だけど、玲から受けた仕打ちを思えば、大雅のセックスは快感だけを遥人の体に注ぎ続けた。
彼がようやく遥人の中で爆ぜた時、それまでの間、散々達した遥人にはもう出すものがなかった。そして、過ぎた快楽に朦朧としてはいたものの、意識を失ってもいなかった。
力の抜けてしまった体を大雅に軽々抱き上げられ、バスルームへと連れて行かれたあたりで我に返ったのだが、自分で体を洗うと告げても彼は全く聞き入れてくれず――。
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