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「寝ろ」
短く囁く低い声。
それに、小さく頷き返したのまではどうにか覚えているけれど、そこからプツリと意識は途切れ、次に目を覚ました時には陽が高い場所へ昇っていた。
***
「おはよう。宮本君のところは楽しかった?」
「……」
数日間の休みを経て、遥人が教室へ入っていくと、開口一番そう告げられて、心拍数が一気に上がり顔から血の気が一気にひいた。
「もう一日登校するのが遅かったら、遥人のおじいさんに相談するところだった」
進路を塞がれ立ち尽くしている遥人の耳へと小声で告げ、口角を上げる玲の姿に、圧倒された遥人の心は折れそうになってしまうけど……ここでくじけてはいられない。
――ダメだ。しっかりしないと。
「ごめ……なさい。すこし、体の調子が悪くて、それで……」
震えそうな脚を踏ん張り、遥人は玲の顔を見上げた。
今、保護者である祖父の許可を得ているのは玲なのだから、会ったらまず謝らなければならないと……登校前に大雅に言われていたからどうにか声を出せた。
「知ってる。忍から全部聞いたから……でも、調子悪いなら俺に言って欲しかったな」
綺麗な顔に困ったような表情を浮かべ告げてくるけれど、その内面を知っているから、どうしても腰が引けてしまう。
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