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「俺、こんなに我慢したの、生まれて初めてなんだけど」 「……で、でも」 「でもは聞かない。ほら、遥人、バンザイして」  長袖Tシャツの裾を掴まれて遥人はゆっくり首を振るけれど、ここで抵抗してみたところで無駄な足掻きとは分かっていた。  ――分かってる。分かってるけど……。  ここに戻ると決めた時から覚悟は決まっていたはずなのに、いざとなると体が震えて言葉に従うことができない。 「はーるーと」  駄々をこねている小さな子供を、あやすかのような優しい声。  ガチガチと歯の根が噛み合わないまま、それでもどうにか腕を上げれば、背後に回った玲が手早くシャツを脱がせ、それを使って手首を縛った。 「な……なん……」 「縄使って痕になると、忍も大雅もうるさいから、今日はこれで我慢して」 「俺は、こんなのは……っ!」  まるで遥人が縛られることを望んでいるかのような言い草に、反論しようと開いた口は、玲の唇で塞がれる。

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