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 悦ぶように漏れる吐息を恥ずかしいとは思うけれど、理性は意識の奥深く沈み、遥人はすぐに与えられる快楽だけに夢中になった。   *** 「……かわい」 「うっ……んぅ」  自分の指を無心に舐めしゃぶる遥人の姿を瞳に映し、玲は小さく呟くけれども、きっと届いてはいないだろう。  そうなるように教え込んだのは、家同士の繋がりにより、幼い頃から側近として側に置いている忍と自分だ。  今も、多少の薬を使っているとはいうものの、ここまで暗示にかかりやすいのは、遥人の中に深く根付いた素直な気質ゆえだろう。 「……やっとだ」  週明けようやく戻った遥人が再び逃げ出したりしないよう、したこともない我慢までして、ここまで自分を抑えてきた。  部屋へと閉じ込め、縛り付けようと最初は思っていたのだが、そんな思考を見透かした忍に制止され、結果的には彼の言い分を聞き入れてやることにしたのだ。 『このまま学校を休ませ続ければ、ソノは俺たちと一緒に卒業できなくなる。御園のじいさんがそれを許すと思うか?』 『どうでもいい。ジジイは遥人を持て余してるんだろうから、価値を失えばくれるだろ』  もちろん、タダで貰うつもりはない。  今後の付き合いなども含め、それ相応の見返りは用意させてもらうつもりでいたが、御園の老人にしてみたところで、厄介払いが出来る上、利益まで出るのであればきっと異論はないだろう。

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