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 ――そうだ。真鍋君……だ。  ようやく名前を思い出し、心の中で礼を告げると、痛みに顔を歪めた遥人は自分の腹を片手でさすった。  目覚めた時から胃が痛み、体が悲鳴を上げている。  思い出すだけで吐き気がするほど、狂気に満ちた週末だった。  交互に襲う痛みと愉悦。  貪欲にそれを受け容れる自分。  狂ったように玲を求め、嬌声をあげる自分の姿は、金曜日から続いたセックスがようやく終わった日曜の夜、いつのまにか寝室へと設置されていた大きなテレビに映し出された。 『覚えてる?』  耳元で甘く囁く声。  倦怠感に感情までもが鈍くなっていた遥人だったが、氷水でも掛けられたみたいに、一気に意識が明瞭になった。  ――ちがう、あれは……俺じゃない。  断片的な記憶を辿れば、映し出された全ての痴態が真実だったに違いないけれど、それにしては揃わぬピースの数が多すぎるような気がした。 『……も、やめてください』  ようやく絞り出した懇願は掠れて酷いものだったが、きちんと玲に届いたようで、『遥人からキスしてくれたら、消してあげる』と、またも難題を突きつけられ――。  ――ダメだ、今は……テスト、集中しないと。  今、遥人の心の支えは、大雅と交わした約束を……守り通すことだった。

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