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「今回はどうだった?」
中間テストの最終日、玲と一緒に部屋へと戻り、いつものようにダイニングチェアーへ自分の鞄を置いていると、先にリビングへ入った彼がソファーに腰を掛け聞いてきた。
「……分かりません」
自己採点はしてみたけれど、いつもよりも手応えが無い。だから遥人がそう答えると、興味なさげに「そう」と答える声がして、それから「おいで」と続けられたから遥人はゆっくり側へ近付いた。
「脱いで」
「……」
突然のことに息を飲み込むと、優雅に脚を組んだ玲が、「出来ないなら、やってやるけど」と口端を上げて告げてくる。
彼が纏ったほんの僅かな苛立ちを、肌で感じることができるのは、自分自身の意志では無いにしろ、長い時間、体を合わせているからだろうか?
――なにか……しただろうか?
ピリピリとしたその雰囲気に、遥人は自問するけれど……考えることは無駄な行為だと、すぐに諦観の幕を降ろした。
なにせ、何が彼の逆鱗に触れるかなんて到底分からない。
「下もだ」
震える体を必死に動かし制服の上衣を全て脱ぐと、そんな声が聞こえてきたから、遥人は黙々と下衣も脱ぎ去った。
恥ずかしくない訳ではないが、時間をかけても答えは同じだ。ならば、少しでも早く事が済む方が幾らか体も楽だろう。
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