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「……たい、いたい……」 「うん。痛いね」 「おねが…だから、もう……打たないで、くださ……」  きっと全てが終わった時、媚びるような声音で玲へと縋った自分を激しく嫌悪するのだろうが、止めてもらうにはそれしかないから遥人は必死に言葉を紡ぐ。 「いいよ。遥人がちゃんと質問に答えられたら、もう打たない」 「……えます……こたえる……から……」 「じゃあさ、遥人」 「……ゥッ!」  すると突然、滑り気のないアナルの中へと指を一本差し込まれ、引き攣るようなその感覚に、遥人は小さな呻きを漏らした。  ――なんか……変だ。  今日は薬を使われておらず、その分意識が明確なのだが、それも遥人は知りはしないから、『おかしい』という疑問符だけで頭の中が一杯になる。 「ここ、大雅に使わせた?」 「や、あ……あぁっ!」  グリグリと中をかき混ぜながら、玲が放った質問に……泣きながら悲鳴を上げた遥人だが、まるで答えを促すように尻をゆっくりとなで上げられ、「答えないと打つけど……いい? と、耳の近くで囁かれれば、冷たい水を掛けられたように体中へと鳥肌が立った。 「そ、それは……」  大雅と体を重ねたことは、秘密にしなければならない。  口止めされた訳ではないが、遥人はそう考えていた。 「……してない……です」  だから、玲がそれを尋ねることなく酷い行為を強いてきた意味を、考えてみることもしないまま、咄嗟に嘘をついてしまう。

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