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「玲」 「分かってる。遥人、よく頑張ったね。今、解いてあげるから、可愛い顔……見せて」 「あ……れい」  悪魔のようだと思っていたのに、この瞬間……遥人の目には、彼の微笑みが慈愛に満ちた天使のように映り込み――。 「あ、あっ、ああっ!」  ペニスの根本を戒めていた拘束具が取り払われた刹那、あられもない嬌声を上げながら、二人の男の見ている前で遥人は白濁をまき散らす。そして、ようやく得られた射精感の中、意識を闇へと落としかけるが、そう簡単に逃げを打つことを許しては貰えなかった。 「ふぅ……う……ん」 「ちょっと出かけてくから、忍の言うことを聞いて待ってな」  胸の尖りをギュッと抓られ、背筋を反らせる遥人の耳へと、僅かながらの憂いを帯びた玲の声が響いてくる。 「じゃ、あとはよろしく。また大雅に渡したりしたら、今度は絶対許さない」 「ああ、分かってる」  ――なにを、言ってるんだろう?  霞のかかった意識のなか、聞こえるのは訳の分からぬ二人の会話。 「いい子にしてろ」  喘ぐように呼吸をしている遥人の乾いた唇へと、ただ触れるだけのキスを落として遠ざかっていく玲の背中が、いつもとはどこか違う気がして落ち着かない気持ちになった。 「あ、あ……」 「お前……完全にマインドコントロールされてるみたいだな」  玲が出て行った扉を見つめる遥人の視線を遮りながら、堀田が声をかけてくるけれど、そうでは無いと遥人は思う。  倦怠感で思考が働かず、判断力も低下しているから、そう考えてしまうのだろうが、遥人は堀田の放つ言葉に引っ掛かりを覚えてしまった。

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