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「御園の中では唯一血が繋がってるのに、ここまで似ないなんて……ホント、笑える」 「っ!」  僅かに上がった彼の口角に背筋を冷たいものが這い上がり、遥人は体を引こうとするが、一瞬速くソファーへと倒され堀田の向こうに天井が見えた。 「もっと狡猾に動かないと、そのうちもっと酷い目に遭う」 「それは……どういう……」 「さあ……な。俺はソノの味方じゃない。だから、不安を煽って楽しんでるだけかもしれない」  見下ろしてくる彼の瞳は光も通さぬ深海のような漆黒で、見つめ合う内、言いようのない恐怖に駆られて胸がざわつく。  酷い目に遭うと彼は言うけれど、今でさえかなり辛い状況だ。なのにこれ以上……何が自分に降りかかるというのだろう? 「……どいてください」 「嫌なら自分で退かしてみれば?」 「……」  出来るものならやっている……と、叫んでやりたい気持ちになるが、そんな勇気も残っていないし、言ったところで状況は悪くなるだけだ。  どうすることも出来ない遥人が、視線を逸らして震えていると、彼の指先がパジャマの袷を開いて鎖骨へ触れてきた。 「……ッ」 「暇だから、少しだけ遊ぼうか」 「やっ……嫌……です」  からかうようにそう言いながら、逃げようとする遥人の手首を掴んでソファーへと縫い止めた彼が、首の付け根へと顔を寄せ――。

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