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 つき合いとはいってもたまに会話を交わす位だったが、同じクラスで前の席だった彼と同じ大学になるとは、当時思ってもいなかった。  ――しかも、学部まで一緒とか……。  高校付属の大学への進学率が高い中、外部受験をする生徒は本当に少なかったから、偶然にも同じ大学、同じ学部になる確率はかなり低いと思っていただけに、入学式で声を掛けられて遥人はかなり驚いた。  けれど、一ヶ月ほどが経過した今、多少の癖はあるものの、明るい彼が側にいてくれて正直とてもありがたい。  高校時代のことを思うと、大学はまるで天国だ。誰も自分を気にとめないし、閉息感もまるでない。  ――それに……。 「なあ、今日暇あるなら課題やってかない?」 「いいよ」 「やった。じゃあ、今日はサイゼな」  適度に距離感のある友人と、ファミレスで課題などをやり、家に帰れば自分一人の自由な時間を満喫できた。  もちろん、この自由には制約があるが、それは今の遥人にとって大した問題にはならない。外部の大学へ入れただけで、それ以外多く望めないことは最初からよく分かっていた。

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