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 ――嘘みたいだ。  自室へと入り鞄を置き、クローゼットの中から着替えを取り出して、遥人はいつもそうするようにバスルームへと移動する。帰宅してすぐ風呂へ入るのは、そうしておけば、大雅がいつでも気を使わずに入れるだろうと考えてのことだった。  このマンションをシェアすることに関しては、遥人の祖父との交渉を大雅がしたと聞いている。その時、定期テストで3位以内をキープし続けた遥人を認め、外部にある大学へと進学するのは仕方がないと祖父は言ったと聞いていた。  世間体を気にする祖父が、ヤクザの息子である大雅との同居を許可してくれた理由は分からない。だが、結果的に家賃半分を祖父が負担することになり、二人で暮らしはめてからは、一定の生活費が遥人の口座へ振り込まれるようになっていた。  ――いったい、宮本さんはどうやって……。  玲については海外へ留学中だと聞いている。これは、卒業間近になって起こったとある事件のせいなのだが、大雅との間で話題を口にすることは出来ないでいた。  そんな、多くの疑問や不安を抱えて迎えた大学生活だったが、時間が経てば徐々に平穏な日々に馴らされていくもので――。  数ヶ月が経過して、夏休みへと入る頃には、真鍋意外に喋れる相手が数人だけれど増えていた。

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