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「入れ」
怯える遥人のジーンズを、慣れた手付きで脱がせた大雅が外へと向かって告げた途端、開きっぱなしになった扉の向こう側から影が差し込んだ。
「予定より随分早いけど、大丈夫なのか?」
「……っ!」
「状況が変わった」
思いも寄らない声が聞こえ、遥人は大きく瞳を開く。
「了解。それにしても……マニアックな状況だな。SMにでも目覚めたのか?」
「触らせないためだ」
「そう。まだ完全に仕上がってはいないんだ」
訳の分からぬ会話をしながら近付いてきた人物が、固まる遥人の傍へ歩み寄り「久しぶり」と声を掛けてきた。
――どうして?
「なんで俺がここにいるのか気になる?」
切れ長の一重瞼が縁取る漆黒の闇を思わせる瞳。酷薄そうな薄い唇が、緩やかな弧を描く様子に、遥人の背筋は凍りつき、途端に涙が溢れ出す。
「あーあ、泣いちゃった。でも大丈夫、ソノは何をされても気持ち悦くなれる体だから」
頬を撫でながら告げてくるけれど、何一つ心に響かなかった。
――なんで、ここに……。
「う……んうっ」
今すぐここから逃げ出したいのに、物理的には何の抵抗もできやしない。どうすることもできない遥人がひきつるような嗚咽を漏らすと、内太股へと触れた大雅がそこをゆっくりと撫でてきた。
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