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 確かに……さっき堀田に言われた通り、大雅本人に理由を尋ねてみたところで、受けた仕打ちが無くなるわけじゃないのだが、たとえ、どんな答えを返されようと、どうしてなのかが知りたかった。  それだけ、大雅の存在は遥人の心をずっと支え続けていたのだ。  ――どんな答えでも、本人から……聞きたい。  そこまで思考が至ったところで、ようやく視界がクリアになったような気がした。    それから、遥人はリビングのソファーへと座り、大雅の帰りを待つことにしたが、緊張のあまり目眩を覚えて胃がキリキリと痛みだす。  昼前からそんな状況だったのに、夕方を過ぎ、夜中になっても大雅は帰って来なかった。  一日中、さまざまな事を考えながら、待ち続けていた遥人はかなり精神的に疲弊しており、ふらつく足で外へと出たのは、大雅を探すためというよりは、気分転換のためだった。  ――コンビニで、なにか……それから戻って、宮本君に……そうだ、メール……してみよう。  そういえば、朝から何も食料を口にしていない。覚束ない足取りで、ふらふらと前へと進みながら、そんなことを考えていた遥人だが、目指すコンビニにたどり着く前に状況は一変した。

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