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「大丈夫、手伝ってあげるから」  唇同士が離れた刹那、瞳に映った彼の笑顔に何度も頷き返したのは……そうすれば気持ち悦くなれるのだと本能が知っていたからで――。 「たす……けて」 「いいよ、助けてあげる」  無意識に、口から零れた哀願は……誰に向けたものだったのか? そんなことも分からないくらい、遥人の心と体の間に大きな溝ができていた。  ***   「あっ……あ……」 「もっと頑張れるよな」  ベッド上に幾つも置かれたクッションを重ね凭れた玲は、自分の上で拙く腰を振る遥人の顔へと手を伸ばす。  人差し指と中指とを、唇の中へ挿し入れてやれば、昔散々教えたとおり、チュクチュクという音を立てながら遥人はそれをしゃぶり始めた。 「ん、上手。だけど……相変わらずこっちは苦手みたいだ」 「うっ……ぐぅっ」  萎えたままの小振りなペニスを空いている手で握り込むと、痛みに顔を歪めた遥人は腰を引いて逃げようとするが、低い声音で「いいの?」と問えば、彼は動きをピタリと止める。 「俺がイくまで終わらないって、さっき言ったよな」   殊更冷たく言い放ち、下から数回緩く穿つと、「ううっ」と小さく喘いだ遥人の身体がヒクヒク痙攣した。

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