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 困ったように下がる眉尻と、涙を湛えた一重瞼。  薄く色づいた白い肢体が自分の上で揺れている様に、満足をした玲は掌中のペニスをゆっくり扱き始める。 「あっ……やぁっ!」  先ほど達したばかりだからか?  ふにゃりとした遥人のペニスは硬くなりはしないけど、それでも気持ちが悦いのだろう……彼の赤い唇からは艶を纏った喘ぎがこぼれた。  ――やっと、取り戻した。  “どうしてここまで遥人に執着するのか理由が解らない”と、以前忍にも言われていたし、春日も不思議がっている。  玲自身にもこの感情の理由なんて分からない。あからさまに自分を避ける遥人のことが気になって、彼の身辺を調べさせてみたら意外に面白そうだったから、気まぐれに声を掛けたのだ。  だから、飽きるまで遊びさえすれば飽きるだろうと思っていた。 「なんでなんだろう……遥人は知ってる?」 「ひっ……いっ……しらない、しらな……」  空いている手を胸へと向け、朱く色づいた尖りを引きながら玲が疑問をぶつけると、意味も分かっていないだろうに、必死に答える遥人の姿が可愛らしいから、つい口角が上がってしまう。 「まあ、理由なんてどうでもいいけど」  本当にどうでもいいことだ。と、玲は思う。  人格者で優等生という評価を受ける自分と、ある種の嗜虐性を含んでいる自分。  その他にも、いろんな要素で自分は構成されているのが、要素の全てを自らの意志で選び取ってきた訳じゃないから、遥人に執着する理由など分析するのは馬鹿な話だ。

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