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『でる……だしたい……いく、いくっ』 『何回でもイッていいよ』 『ちがう、れい……れい、でない……お願い……とってぇ』  そこから……どれくらいの時が流れたか記憶はかなり曖昧だが、キスをするよう命令され、何度もそれを繰り返すうち、射精を伴わぬ絶頂の中で遥人は意識を手放した。  そして、次に遥人が目覚めた時にも場所は変わっていなかったから、実際意識を飛ばした時間はあまり長くは無かったのだろう。 「……ん」 「起きた?」  あやすように背中を撫でる大きな掌の感触が、心地よくて遥人は思わず小さな吐息を漏らしてしまう。   「ん……う」 「甘えてるの?」  しかし、ほどなく自分が玲の胸へと頬を埋めていることに気づき、痛む体を必死に動かし上半身をなんとか起こした。 「寝てて良かったのに」  喉を鳴らして玲は笑うが、どこか様子がおかしい気がする。いや、おかしいのは以前からだが、そうじゃなくて――。 「考え事? ここ、まだ挿入ってるのに余裕だね」   「あっ……」

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