203 / 338

65

 ――だけど、もしかしたら……。  チラチラと見え隠れしている違う答えの存在を、今更になって意識してしまう自分が心底嫌になる。  ――もう……過ぎたことだ。  そう、遥人が推測してみたところで答えなど分かるわけもない。それに、いまさら真実が分かったところで現状はきっと変わらない。  それでも、意識的に考えるのを止めようとすればするほどに、疑問は小さな棘となって遥人の心に残り続けた。 第四章 おわり

ともだちにシェアしよう!