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第五章

 地味な雰囲気なのにも関わらず、クラスメイトからは浮いた存在。  それが、御園遥人に抱いた最初の印象だった。    もともと……他人に興味を抱くことなどほとんど無かった大雅だから、クラスメイトの一人くらいの認識しか持たずにいた。    ただ、そのうちイジメの標的になった彼を助けてしまったのは、孤立している自分の姿と重なる部分があったからだ。  中途半端な情けなど、相手を更に苦しめるだけだと頭じゃ理解していたが、らしくもなく、この時大雅は彼と関わりを持ってしまった。    当時の大雅はその先にある未来など予測できなかったし、たとえ予測できたところで、何が変えられたわけではなかったろうけれど――。 第五章 「浮かない顔だな」 「別に。いつもと一緒だ」  大学からほど近い場所にあるカフェの席へと座った大雅は、先に座っていた忍へと無愛想に返事をする。すると、意味ありげに口角を上げながら「へえ」とこちらを見つめてくるから、胸の辺りがもやもやしてきて大雅は忍を睨みつけた。 「怖い顔するなよ。大雅が自分で決めて、行動した結果だろ」 「なんの用だ」  暗に忍が遥人とのことを言っているのは理解できるが、だからといってこんな場所へと呼びつけられる理由が分からない。

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