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「まだ赤いな」  口腔を覗き込んだ玲が、舌先へ指で触れてくる。 「舐めて」 「……ん」  低い声に操られるように長い指へと舌を絡め、教え込まれた通りチュパチュパと卑猥な音を立てながら、これ以上の行為を要求されないようにと遥人は祈った。  同じ空間には春日がいるし、連日酷使されている身体は既に悲鳴をあげている。せめて、潰れた喉が完治するまではそっとしておいてほしかった。 「んっ……うぅ」  それなのに、頭ではそう考えているのに、玲の指をしゃぶっているだけで身体の奥が熱くなる。  ――ど……して?  夜毎自分が乱れる理由は、点滴になにか特殊な薬を仕込まれているせいだと思っていただけに、遥人の中に言いようのない絶望感がわき上がった。 「感じちゃった? かわいい」 「……うぅ」  耳朶をざらりと舌が這い、体中へと鳥肌がたつ。  身につけている大きめのシャツの襟へと玲の指がかかり、一番上のボタンを器用に片方の手が外したところで、遥人は彼の意図を察し、思わず手首を両手で掴んだ。

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