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「ぐ、うぅ……ん」
「ヒクヒクしてる。でも、今日はこっちだけでイケるようにしたいから、お預けな」
ひくついているアナルを指で数回軽くノックされただけで、遥人の腰は無意識のうちに拙く上下に揺はじめた。
――たりない……もっと。
じれったい熱に侵される中で遥人の理性は削ぎ落とされ、なおもしつこく陰嚢を揉む玲のほうへと視線を向けるが、強請ろうとしても声が出せず、とうとう嗚咽が漏れはじめる。
「あーあ。泣いちゃった」
「う゛っ……うぅっ!」
陰嚢に強い圧力がかかり、ぐぐもった悲鳴があがった途端、背後で拘束されていた腕がようやく自由を取り戻した。
玲が春日に目配せをして離すようにと指示をしたのだが、切羽詰まった遥人の中に理由を考える余裕はない。
「好きに動かしていいよ」
「うう……ふぅっ」
言われる前に手が動き、すでに自身を掴んでいた。けれど、それについて罰を与えるつもりはどうやら無いらしい。
――いく、いきたいっ。
竿の根本を戒めている縄へと爪を立てながら、細い腰をくねらせる姿が、どれだけ淫らに見えているのか本人には分からなかった。
ただ、今は下半身で渦巻く熱を、少しでいいから放出したい。
「ふ……ぐぅっ」
泣いているせいで鼻がつまり、口を塞ぐ布地が唾液を多く含んでしまったせいで、呼吸が徐々に苦しくなってきているが、この時遥人の心と身体は、苦しさにさえ愉悦を感じてしまうようになっていた。
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