223 / 338

20

  ***  ――いく、も……いきたい……。 「うっ……うぅ」  苦しいのに、痛いのに、気持ちが悦くてたまらない。  今だって、絡め取られた自分の舌がチュッと音をたて吸われるだけで、下半身へと熱が渦巻いて愉悦に思考が霞んでしまう。  ――こわ……い。  以前から玲は怖かった。だけど、今感じている恐怖はどこか違っていた。  ――きもちいい。  彼に触れられれば身体が疼き、縄を使って戒められれば、はしたなく勃起してしまう。   「やぁっ……あうぅっ」  キスの合間に漏れる嬌声は、確かな喜悦を含んでいて……セックスのあと、冷静さを取り戻すたび、こんなに乱れてしまう自分は病気なのではないかと思った。  今、遥人が感じているのは、身体についてはもちろんだが、環境の変化に対する恐怖のほうが実は大きい。  これまでは、玲と一緒に暮らしていても、外の日常と関われた。だけど、今の遥人の世界は狭く、この部屋の外へ出られない。  ――こわい……なにが?  肌で感じる恐怖は日に日に強く濃いものになっているのに、考えている暇もないほどに強い快楽を注がれ続け、その正体が何であるかを深く追求できずにいた。 「遥人、これ、抜いてほしい?」 「あ、あ……れい、ぬいて、でる……から」 「自分で入れてって強請ったのに?」 「ちがっ……そんな……アウゥッ!」  漠然とした不安と恐怖に心は悲鳴を上げているのに、ブジーを少し抜かれただけで、頭の中は真っ白になり、射精感に遥人は身体を戦慄かせる。

ともだちにシェアしよう!