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「……いや……です。好きじゃない……ん、んぅっ」
完全に墜ちてしまう前に、縛られたり、痛くされるのは好きじゃないことを伝えたかった。だから、遥人は必死に言葉を紡ぐが、言い終わる前にキスで唇を塞がれる。
「んっ……ふぅっ」
啄むようなバードキスを何度も繰り返されるうち、遥人の思考はいつものように、あやふやなものへと変わっていくが、この時玲が初めて見せた物憂げに見える表情だけは、後になってもふとした瞬間脳裏を掠めるようになった。
***
「結論から言います。今泉玲が御園遥人と住んでいるマンションが判明しました」
テーブル上へと置かれた資料を指で手繰り寄せ目を通し……大雅は一瞬動きを止めたが、すぐに真鍋へと視線を向けた。
「すぐ分かりそうな場所なのに、どうしてこんなに時間がかかった?」
以前真鍋と話した時と、同じ店内の同じテーブル。
隣に座る忍の声音は、柔らかいけれど確かな棘を含んでいる。それもそのはず、彼の示した資料にあるのは大雅の部屋の目と鼻の先で、いかに相手が注意深く、慎重に行動していたとしても、これまで遭遇しなかったことが大雅には不思議でならなかった。
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