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「……っ!」  必死に答えを導きだそうとしたところで、唐突に……遥人の意識は現実へと引き戻される。そして、視界の中へと入り込んできた人物の姿を見て、思わず息を飲み込んだ。 「あれ、もう目が覚めた?」  まず、小首を傾げて自分を見下ろす真鍋の姿に驚いた。  しかし、それよりも……その背後に立つ大雅の姿に、遥人の動悸は自然と大きくなってしまう。 「……夢?」  さっきまでのが現実で、これが夢だと考えた方が、これまでの生活との整合性がとれていた。だから、掠れた声で遥人が問えば、「現実だ」の声がしたあと、大きな掌が額へとそっと乗せられた。 「ちゃんと麻酔が切れるまで、もう少し寝てていい。もう大丈夫だ。だから……」  大雅の言葉が終わる前に、再び遥人は意識を落とす。    ――やっぱり、夢だった。  そして……再度見えてきた玲の姿に、安心した遥人は小さく息を吐き、こちらへと伸ばされた掌に、そっと頬をすり寄せた。   『どうした?』 『……なんでもないです』 『顔色が悪い。無理させ過ぎたかな?』  さっきは夢を問われたけれど、その続きではないらしい。その証拠に、寝衣を着ていた筈の玲が今は裸になっている。  それが何故かを考えられれば、こちらが夢だと理解出来るのに、夢の中であるがゆえ、現実的な思考をすることが遥人には困難だった。

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