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「……い、玲」
掠れた自分の声が聞こえて、遥人はふたたび覚醒した。
今回視界へ入ってきたのは真鍋と大雅の姿ではなく、点滴スタンドと白い天井だったから……リアリティに欠ける状況に、遥人は思わず笑いたくなる。
病院特有の簡素な内装は、昔、母が入院していた時の室内と似ていたから、『当時の記憶が夢に出ているのだろう』などと、遥人はぼんやり考えた。
「玲」
こう何回も意識を落としては流石に玲から怒られる。
だから、遥人はギュッと瞼を閉じて、元の場所へ戻ろうとした。
それなのに、今度の夢はなかなか覚めず、時間ばかりが過ぎていく。
――どうしよう。
徐々に不安が頭をもたげ、上手くいかないこの状況に、泣きたい気持ちになったところで、話し声と足音とが遥人のほうへと近づいてきた。
――だれ?
「そろそろ起きる頃だと思うんだけど」
怯えた遥人が体を硬くした刹那、カーテンが開かれるような音がする。
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