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「御園君、起きた?」
至近距離から掛けられた声に、驚いた遥人が瞼を開くと、白衣を纏った知らない男と良く知る真鍋の姿があった。
「……なんで? ここは……」
真鍋はさっきも夢に出たから、これはその続きなのだろうか? いや、大雅の姿は見えていないから、別の夢なのかもしれない。
「目が覚めて良かった。この人はお医者さんだから安心して。あと、ここは……」
「説明はあとできちんとする。まずは、なにか口に入れようか。喉、渇いてない?」
質問に答えようとしてくれた真鍋の声を遮って、白衣の男が尋ねてきたから、遥人は小さく頷いた。
今の状況は知りたいけれど、言われてみれば、それ以上に喉がすごく渇いている。
それに、夢だからなのか? 体も上手く動かせない。
「どうぞ」
「ありがとう……ございます」
白衣の男がリモコンを操作した途端、寝かされているベッドの背中の部分が少し起きあがる。
差し出されたペットボトルから水を口内へと含み、さらには嚥下しようとすると、焼けるように喉が痛んで遥人は体を震わせた。
「大丈夫?」
咳込む背中をさすってくれる優しい掌に身を委ね、呼吸をどうにか落ち着かせてから、ゆっくりと、再び水分を補給する。
それを何度か繰り返すうち、遥人の思考は安定してきて、もしかしたら、こちらが現実なのではないかと思えてきた。
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