――だけど、まだ分からないことがある。 　どうして、大雅は兄の堀田のことを裏切るような真似をしたのか？　今現在、大雅と堀田はどんな関係になっているのか？ 　そして、彼が自分を救った理由も未だに遥人は聞けずにいた。 　大学の時にルームシェアはしていたものの、プライベートには干渉しないドライな関係だったはずだ。 　 　――話してくれるまで……知らなくていい。 　 　疑問は次々浮かんでくるが、自ら答えを求めてしまえば、すべてが壊れてしまう気がして――。 　ツキリと胸に刺さる痛みは、日に日に大きくなっていくけれど、それに気付いてしまわぬように、遥人は瞼を固く閉じた。 　＊＊＊ 「脚、見せてみろ」 　風呂から上がって水を飲み、リビングへと入ったところで、大雅からそう声を掛けられ遥人は黙って頷いた。 「痛みはないか？」 　促されるまま彼の前へと移動してから腰を下ろすと、コットン素材のパジャマのズボンを左だけ捲りあげられる。 「今は大丈夫です。ずっと立ってたりすると痛むけど、我慢できないほどじゃないから」 　これは、彼が泊まる都度いつもしている行為だが、正直言って恥ずかしい。 　自分から見ても男らしくない華奢な脚には、縫合の痕が残っているし、それをまじまじ見つめられては、流石に居心地が悪かった。