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「そうか」
傷痕へと指を這わされ、くすぐったさに鳥肌がたつ。
そのまま、微かな隆起を辿るかのように、ゆっくりと、脛(すね)のあたりから太股の裏へ這いあがってきた指先に、ざわざわとした甘い疼きが背筋へとせり上がってきた。
「大雅君、もう……やめてください」
慈しむようなその触れかたに、性的な意味は含まれてないと知っている。だけど、分かっているのに体のほうが過敏に反応してしまう。
――恥ずかしい。
無表情な大雅の視線が脚から離れてこちらへ向くが、羞恥のあまり、まともに顔を見ることさえもできなくなった。
この症状は、回を重ねていくにつれ、どんどん酷くなっている。最初は大雅に触れられても、気恥ずかしさしか感じなかったはずなのに、こんな感覚に陥るなんて、まるで欲求不満みたいだ。
「お前、自分で抜いてないのか?」
「……なっ! なにをっ」
淫らな自分の体を恥じ、意識を他へと向けようとすると、どういうわけか? 一度は離れた大雅の掌が突如股間へと触れてきた。
驚いた遥人は逃げようとするが、大雅はそれを許さない。
パジャマの薄い布地越しに股間を緩くもみ込まれ、「動くな」と低く命じられては、逆らうこともできなくなった。
「や……やめて……触らないでください」
今、遥人の心の中は、意志と裏腹な反応を示す自分自身の淫らな体と、思いもよらない大雅の動きに、かなりの混乱をきたしている。
「答えろ」
「……てない。ずっと、してない」
威圧感のある低音に怯え、絞り出すように答えれば……僅かながらの沈黙のあとで溜息のような音が聞こえた。
「なんで? 生理現象だろ」
呆れたような彼の言葉に、目の奥がジンと熱くなる。答えなければと思いはするが、考えがまるで纏まらなかった。
「ああ、違う。怒ってるんじゃない。ただ聞いてるだけだ。あの夢は? 今でも見るのか?」
「や、あ……あぁっ」
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