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「忍が俺の異母兄って話は、前にしたよな」
「……はい」
その話は、遥人がリハビリを始めたころに、大雅から直接聞いた。
遥人を玲から引き離すための計画は、兄、唯人の使用人である真鍋から、忍と大雅の兄弟へと持ちかけられと聞いている。そして二人はその計画へと協力した。
入院してから今に至るまで忍と真鍋には会っていないが、玲に居場所を知られぬよう……極力接触を避けているのだと、遥人は説明されている。
「あれは……少し、違う。忍は計画に協力してない。正確に言うと、途中で真鍋が意図的に外したんだ」
喉元から顔をあげ、こちらを見下ろす彼の表情は、僅かに眉間を寄せているものの、その感情は読みとれない。
「どう……して?」
「忍は、危険だから」
さらに、そこから明かされた事の全容は、遥人にとって驚くことの連続だった。
まず、真鍋は唯人の命令を受け、玲から遥人の身柄を奪う計画を立てていたのだが、それは同時に御園の老人に逆らうことを意味しており、主の唯人が窮地に立たされることを真鍋は心配した。
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