259 / 338

14

 だから、御園の家と絡みはあるものの、直接的な関わりのない忍と大雅の兄弟へと真鍋は声をかけたのだ。 「御園の老人にとってみれば、渡す相手が玲であろうが俺であろうが大差ないんだ。俺がルームシェアの了承を貰いに出向いた時だって、欲しいなら力で奪えばいいと言ってた」  議員か華道家元か、はたまた老舗の有名料亭か? なんにせよ、その後継者たちが邪魔な遥人を欲しいと言う。今後の御園にとってみれば、いい餌が手に入ったものだと祖父は笑っていたと告げられ、遥人の背筋を寒気が走った。  「お前を誰に差し出したところで、爺さんに損はない。ただ……孫の唯人が玲の父親を陥れたことが、爺さんの怒りをかった。だから、爺さんはお前を探してる。たぶん、唯人に対する見せしめにするためだろうが……何にせよ、捕まれば穏やかには済まないだろう。まだここはバレてないが、それも時間の問題だろうな」 「そんな……」 「長瀬さんの病院は、御園とは別の旧財閥がバックにいるから、あそこにいれば安全だったが、ずっといるわけにはいかないし……な」  そんな話になっているとは思ってもいなかったから、驚きに声も出せなくなる。

ともだちにシェアしよう!