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「忍は俺の気持ちを知ってるから、俺は裏切らないと思っていたんだろうが……俺は、料亭じゃなく極道を継ぐ決断をしたから、この想いはもう断ち切らないとならない」
「どうして? そんなこと……」
「理由なんか話す価値もない。それに、もう決めたことだ。大学を卒業したら、俺は父親の組に入るため関西へ行く。そこにお前も連れて行くつもりだ。そうすれば……守ってやれる」
淀みのない大雅の言葉に遥人は泣きたい気持ちになった。彼がこうも責任を感じる必要などありはしないのだ。それに、大雅の発した『守ってやれる』という言葉が、胸に深く突き刺さった。
――俺が、弱いから、だから……。
「遥人がこういう関係を求めていないなら、大学時代のようなルームシェアでいい」
――違う、それは……。
大雅の思い描いた未来は、贖罪に埋め尽くされている。罪滅ぼしならもう済んでいるとさっき告げたはずなのに、まるで伝わっていない様子に、胃の辺りがキリリと傷んだ。
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