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思い通りにならないことなど一つもなかった高校時代、遥人にだけは本当の自分を見透かされたような気がした。
成績だけは優秀だが、他に取り立てて目立った所の無い遥人に興味を持ち、素の部分をさらけ出したのは、単に彼の反応を見て楽しもうと考えたから。
――けど、違った。本当は……。
大雅の介入に驚きはしたが、どうせ忍の差し金だろうと甘く見ていた。
忍が油断の出来ない相手ということは良く分かっていたが、上手く対応出来ないようでは人の上に立つことはできない。
「あの庭で、泣いてる遥人を見つけたのは、俺なのに……」
"あの日"の記憶を取り戻してから、所有欲は増す一方だったが、手に入ったと思った途端、遥人は玲から逃げだした。
「今度は絶対逃がさない」
「やっ、アアゥッ!」
今、遥人に強いている行為が逆効果でしかないことなど、自分が一番分かっている。
けれど、探し出してから数ヶ月……遥人の上司に手を回し、周到な計画を立ててようやく触れることができたのだ。理性が保つはずもない。
「嘘吐き。嫌って言っても、ここは悦んでる」
「ひっ、ああっ!」
戒めたままの遥人のペニスを掴んで激しく上下に擦れば、悲鳴をあげた遥人の体はビクッビクッと痙攣した。
手は自由に動かせるのに、自分で慰めようとしないのは、過去に厳しく教え込んだ成果だろうか?
「遥人のなか、気持ちいい」
下腹を軽く圧しながら、呟いた玲は遥人の中へと堪えていた精を吐き出す。と、既に限界だったのだろう……小さく呻いた遥人の体からガクリと力が抜け落ちた。
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