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「春日、お前……なにを隠してる」   「なにも。これ以上会話をしても、貴方にとって何の成果もありません。ここは一旦お引き取りください」 「そう言われて、はいそうですかって帰れると思うか? いったい何をしたいんだ。これじゃ……アイツに怪我をさせてまで、助けたことが無駄になる」  春日との距離を一歩詰め、感情的にならないように声を抑えて大雅が告げれば、僅かに眉根を寄せた春日は、「困りましたね」と呟くが、本当に困っているようにはまるで見えなかった。 「なにかあってからじゃ遅い。すぐに遥人を――」 「その辺にしておけよ。春日さんが困ってるだろ」  なんとか春日を説き伏せようと、再び大雅は口を開くが、背後からの声に遮られ最後までは話せない。 「大雅、分かるよな。ここで問答しても無駄」 「……忍」    肩へ乗せられた掌が……誰のものかは瞬時に分かった。そして、この一連の出来事に、忍が絡んでいるということを知った大雅は息を詰める。 「春日さん、大雅を呼び出してくれてありがとう。これで、貸し借りはチャラだ」  首だけを動かし後ろを向けば、そこには忍の姿があり、「そういうことか」と呟きながら大雅は大きなため息をついた。 「春日さん、もういいよ」  そう忍が告げるやいなや、春日はこちらに会釈をし、「では、また明日」と言い残してから足早に門の中へとその姿を消してしまう。   「さて……と。まずはお兄様を車に乗せてくれないかな」  状況は理解したけれど、どう動くべきか思考がうまく纏まらず、立ち尽くしている大雅の耳へと忍の声が聞こえてきた。

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