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第七章
【第七章】
その柘榴の木は広い庭の隅にポツリと植えられていた。
今の自分が見たならば、それほど大きくない木だろうが、子供のころの玲の瞳には大樹のように映っていた。
「子供の頃、親は仕事で家にはあんまりいなかったから、母親の姉って人が嫁いだ料亭の離れに住んでた。父親の選挙区は東京って言っても田舎のほうだから、都内の私立に俺を通わせるためには、そっちのほうが何かと都合が良かったらしい」
それが、その後大雅を養子に迎えた宮本という老舗料亭だ。
料亭側の敷地の庭は日本庭園になっていたが、離れの建つ反対面は手入れのされた木々と遊具が置かれており、その辺の公園よりも遊び場としては充実していた。
そこから、私立の名門小学校へと車で送迎されていた玲は、帰宅した後も習い事などで忙しく、学友と遊ぶことなどほとんどありはしなかったけれど、叔父の親戚だという理由で忍は良く遊びに来ていた。
「忍とは気が合った。って言っても、小さい頃から上下関係は決まってたから、アイツが俺に合わせてたんだろうな」
そこまで話をした玲が、「面白くもない話だろ?」と遥人へ問えば、彼はノロノロと首を横へ振り「そんなことない」と返事をする。
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