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*** 「やっ、玲、汚いっ……汚いから!」  信じられない玲の行動に焦った遥人は這って前へと逃げようとするが、腰を浮かせたその途端……下肢が宙へと持ち上げられた。 「や、やぁっ」  玲の両肩へ脚を担がれてしまったため、逃げることが出来なくなった遥人はシーツを引っ掻くが、そんな抵抗をものともせず、彼は後孔の縁へと舌を這わせると、その舌先をアナルの中へ捩じ込んでくる。 「ひっ、やだっ……や、れいっ、おねがい……だから」 「なんで? 気持ち悦くない?」  体を捩って懇願すれば、ようやく動きを止めた玲が不思議そうに尋ねてきた。 「そんなとこ、汚い」 「汚くなんかない。遥人のココ、誘うみたいにヒクヒクしてるし、こっちも……気持ちいいっていってる」 「あぁっ……ん」  勃ちあがっているペニスをつつかれ、鼻にかかった吐息が漏れる。   「でも……遥人がホントに嫌なら止める。遥人が決めていいよ」 「どうする?」と尋ねたくせに、思考する時間は与えてくれない。  遥人が返事をするより早く再びアナルへ舌を這わせると、玲は孔を広げるようにそこをしつこく(ねぶ)りはじめた。 「あっ、ああ……ん」  自身のアナルがヒクリヒクリと伸縮しているのが分かる。彼の舌先は浅い所をクルクルと舐めているだけなのに、羞恥だけでない酩酊感が遥人の体を薄桃に染めた。 「あぁ……れい……れい」  『止めて』と声に出そうとして、遥人はコクリと唾を飲み込む。  ――ダメだ……嘘は……だって、俺は……。  逃げ出さないと決めたのだ。  例え、それが正しい答えじゃなくても、自分の気持ちにもう嘘なんてつきたくない。 「……やめ……ないで」  だから覚悟を決め、絞り出すように遥人が言葉を紡いだ刹那、玲は動きをピタリと止め、遥人の脚を肩から下ろした。

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