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「俺、自分がどういたいのかを……ちゃんと考えてみるよ」 「そうだな」 「あと、今日は兄と会わせてくれてありがとう」 「また会おうって言われたんだろ」 「うん。いつか緊張しないで話せるようになれたらって思う」  ――少し変わった……か。  少なくとも、今の遥人は何も強要されていない。その中で、ようやく自分の道を選びはじめている。さっきまで……『覇気が無い』などと思っていたが、きっと彼なりに前へ進もうとしているのだと考え直した。 「あ」  ゆっくりと歩く遥人に歩調を合わせながら、駅前へと着いたところで、前方に立つ長身に気付いた遥人は小さな声をだす。 「相変わらず目立つ奴だなぁ。じゃあ、俺はここで……また連絡するから」 「真鍋君、ありがとう。俺も連絡する」  遥人に手を振り見送っていると、こちらに気付いた男が真鍋に軽い会釈を向けてきた。 「へえ、意外」  笑みを浮かべて会釈を返し、真鍋は今来た道を戻る。  今泉玲を見たのは久しぶりだったが、彼から見れば、一度は遥人を拐った立場の自分に対し、攻撃的な態度を全くとらない辺り、悪い方向へ進んではいないようだと少し安堵した。

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