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 定期的に通う病院で、玲と時折会っていることを打ち明けた時、大きなため息をついた長瀬は呆れたように「良く考えろ」と遥人に告げた。 「俺が玲を……好きになるのはおかしいことだって分かってる」  友人である真鍋が否定しないのは、雇い主である唯人の弟だからだろう。それでも会話を交わしていると、賛成ではない彼の心情を感じる場面は何度かあった。 「そうだな」  玲の表情は変わらない。  今は穏やかに見えているけれど、いつ気が変わって、酷い仕打ちを受けることになるか分からない。と、遥人は思う。  しかし、頭では良く分かっているのに、あろうことか……例えそうなったとしても、構わないなどと思ってしまう自分もいた。 「でも……決めたんだ。だから、今日ここに来ることが、どんな意味を持つかは分かってる。俺は玲と約束した。ずっと一緒にいるって……それだけが理由じゃないけど、俺はずっと玲に魅かれてたこと、認めるしか無くなったから」  声は情けなく震えたけれど、最終的に出した結論を遥人はようやく口にする。  考えても、考えても、周りの誰もが望む答えは出なかった。  辛かった過去をひとつひとつ思い出し、離れなければならないという結論を……何度も自分に言い聞かせたが、心がそれを受け入れない。 「俺を助けてくれた人たちが、許してくれるとは思わないけど――」  周りの優しい人たちが、望むであろう結論は出せなかったけれど、それでも遥人は覚悟を決め、自分の気持ちに従った。  だから今、遥人はここにいる。

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