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「少しだけ、我慢して」
「んぅ……」
何を? と遥人が訊ねる前に、玲が覆い被さってきて、今度は遥人の胸の辺りへとその舌先を這わせてくる。
折り曲げられる格好となった腹部が少し苦しいけれど、陥没している小さな乳首を舐められ吸われているうちに……そこから生まれた疼きと愉悦でそんなことは気にならなくなった。
そして――。
「あっ、ああっ!」
どれくらい経っただろう。
時間をかけた愛撫によって遥人の乳首は吸い出され、そこを軽く噛まれただけで、射精感に喘いだ遥人は自身の下肢へと手を伸ばす。
しかし、予想とは違い遥人のペニスは達しておらず、勃ちあがったままだった。
「……うそ」
「出さないでイケた? 遥人はやっぱり……」
「や……ぁ」
条件反射で『淫乱だ』と、言われるものだと怯えた遥人は、瞼を閉じて震えるが、続けて聞こえた「かわいい」という甘さを纏った玲の声音に、自然と涙が溢れだし……視界はぼやけたものとなる。
正直、全くかわいくなんてない。
それは、自分が一番分かっている。
体つきは貧相で、容姿においても目立つ要素などまるで無いという自覚が十分あるだけに、玲には自分がどんな容貌に見えているのか? 不思議でたまらなくなったけれど……それでも、彼が本気で言っているのが分かるから、それだけで胸がいっぱいになった。
「まだダメ」
「や……玲、いく、だしたい」
もどかしさに悶えた遥人が自身のペニスを扱こうとすれば、喉で笑うような音がして玲に手首を捕まれる。
「……ねがい、おねがい、れい」
首を横へと振りながら、遥人は懇願するけれど……「まだ、終わりたくない」と、耳元へ低く囁かれれば、魔法にでもかかったみたいに抗うことができなくなった。
「もう少し、我慢できる?」
「ん……うぅ」
耳朶へと軽く歯を立てられ、そこから生まれる淡い愉悦に遥人の体はヒクリヒクリと操られたみたいに揺れる。
手首はすぐに解放されたが、遥人はシーツを握りしめ……与えられる快楽ですぐに達してしまうことのないように、唇をきつく噛みしめた。
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