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ようやく教室のドアを開けて飛び出した所で。 「ぅわ!」 「っと。……大丈夫か?」 前方不注意でぶつかったのは俺の方だ。 大きく固く弾力のある何かが顔を強かに打った。そして同時に包み込まれるように抱きとめられ、その場に転げる事は回避されたらしい。 「す、すいませんっ……ぁ、丹羽、先生……」 「おぅ。怪我は、ねぇな」 彼の逞しい胸元にぶつかってしまったらしい。 慌てて謝り離れると『気にするな』と相変わらずぶっきらぼうな言葉が返される。 「慌ててどうした。小便か?」 「しょ……いや、その」 小便か、なんて。まさか冗談のつもりだろうか。でもやけに真面目な顔してるしなぁ。 曖昧に笑ってみたが、まぁ向こうの表情は変わらない。 ……何考えてるか分かんねぇ人だな。 少し苦手かもしれない。 「ほら行くぜ」 「え?」 「小便、行くんだろ。俺ももよおしたから連れションさせろ」 「えっ、え? え、あ、はぁ……」 俺の手首をグイッと引かれて歩いていく。 驚いたし、その握力の強さと体温の高さに戸惑ったが。 それでも何故かそんなに拒否感を感じることなく、放課後の廊下を男二人手を繋いで歩く……なんて気色悪い事になった。

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