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「橘。お前のとこ、親どーなってんだよ」 思わず教師らしからぬ、ぞんざいな口調になったのは相手がこのクソガキだから。 フェラも平日毎日させられて10日目となればそろそろ慣れる。精液飲まされなければ吐き気もそこそこに水で口を漱いでお終い。 そのあと、本当に『生徒指導』する余力くらいあったりする。 「オレの親がなんだって?」 別に焦ることもなく、前を寛げたまま首を傾げる姿にはもはや感心すらする。 ……いやいや、お前まだ出しっぱなしだし。先にティッシュついてる姿もマヌケすぎるだろ。 「しまえ、ソレ。 ……何度連絡しても折り返しすら掛かって来ねぇぞ」 「あははは。あー、だろうねぇ」 「ったく、笑い事じゃねぇよ」 生徒指導の田中に言われて、散々素行の悪い生徒の親に連絡取ろうってしてるのに。 「無理無理。だって親父は日本にすら居ないし」 「母親は何してんだ」 「……あー。今頃カレシの所だろ」 「は?」 橘は肩を竦めて、なんてことない様子で答えた。 「絶賛不倫中。多分両方共」 「え」 「ま、こっちとしては鬱陶しく無い程度に楽しんで貰えたら良いというか……正直どうでもいいというか」 「橘」 狼狽えた俺に、軽く笑った彼が手を伸ばす。 その先を視線で追うことなく目を伏せた。 「まさかオレに責任感じてくれるわけ? 先生って真面目」 「うるせ……別にそういうんじゃねぇよ」 俺の問題と橘とその両親のそれは別だって事くらい分かってる。 ただ少しばかり気まずいだけだ。 「ねぇ先生……明日うちにおいでよ」 「……」 そっ、と繊細な指先が触れたのは頬。 輪郭を滑るようになぞって、唇も撫でて。 「大丈夫。家庭訪問だよ。母さん……いるかも」 「本当、か?」 視線だけ上げれば、じっとこちらを見つめる双眸にぶつかった。 見透かすような癪に障る目だ。俺が嫌いなタイプの瞳。 「かもね。来てみなよ。ねぇ?」 「チッ……仕方ねぇな」 舌打ち混じりの答えに、彼はニコリと花が綻ぶようにそれはもう綺麗に微笑んだ。

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