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第6話
――津川は変態なのか?
今の流れでどうしてその答えが出るのかが、不思議でしょうがなかった。
「ねぇ外村さん」
津川の手が私の胸を撫でる。女性を愛撫するかのようなその動きに、嫌悪感を覚える。彼から逃れようとしたが、椅子に縛りつけられていては動きようがない。
「あなたを支配しても良いですか?」
言われた意味がわからなかった。だがその答えは、腹部に受けた衝撃で理解する。
「ぐっ……」
津川が腹を蹴り、その勢いで私はそのまま横に倒れた。背もたれに回した腕に負荷が掛かる。津川はそのまま二回、三回と蹴り続けた。
人から暴力など受けたことはないが、私は本能的に身体を丸めて自らを防御した。
「大丈夫です。顔は傷つけません。俺、外村さん大好きですから」
津川は私の身体を椅子ごと起こし、自らが蹴った痕をまじまじと見つめる。
「俺、仕事ではあなたみたいな上司に支配されたいんですけど、プライベートは逆でして。外村さんモロタイプなんですよ!」
津川は得意げに語った。
津川の話をまとめると、彼は今、私に対して歪んだ支配欲を持っているようだ。痛みが治まり冷静になった頭で考えると、段々腹が立ってきた。何故、私がこんな若造の言いなりにならねばならない。
津川は今も胸や腹を撫で、時々舌を這わせてその感触を楽しんでいる。目を下にやると彼の股間は服の上からも分かるほど勃起していた。
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